2013/01/07


正誤思考から相違思考へ

1.対決ではなく協調

 

昨年末の衆議院選挙は、自民党が過半数を上回る294議席を獲得、民主党は公示前の4分の1を下回る57議席、という結果に終わりました。

 

マスコミ各社は「自民大勝、民主惨敗」と評しましたが、政策論議においては勝ち負けではなく、中身を深めるための論議を進めてほしいものです。

 

国民が求めているのは、「対決に終始すること」ではなく、「協調して問題解決を進めること」ではないでしょうか。

 

自分の正当性を主張するだけで、相手と協調しようとしない政治への不信感、それが59.32%という戦後最低の投票率に現れているように思います。

 

 

2.正誤思考と相違思考

 

相手の誤りを責めたて、自分の正当性を主張するのは、正誤思考です。
「どちらが正しいのか」を考えることであり、「こちらが正しければ、そちらは間違っている」と評価を加えることです。

 

相手との違いを理解し、相手との協調の道を探るのは、相違思考です。
「どこが違っているのか」を考えることであり、「(ここは同じだが)ここが違っている」と相違点を認識することです。

 

正誤思考は、価値観が同じであることを前提とし、多様な価値観を受け容れません。
「これは正しいが、それは間違っている」と自分の価値観を相手に押しつけます。

 

相違思考は、価値観が同じではないことを前提とし、多様な価値観を受け容れます。
「こういう意見もあるし、そういう意見もある」と双方の価値観を包み込みます。

 

 

3.価値観の違いを克服する

 

正誤思考は、対立を深め、調和を求めにくくします。
相互の意見はまとまらず、問題の先送りへとつながります。
短期的には決着がつくこともありますが、反動としての後戻りを引き起こします。

 

相違思考は、相互の理解を深め、調和へと導きます。
相互の意見を取り込み、問題解決を次の段階へと進めます。
短期的には停滞のように見えますが、全体最適による長期的利益をもたらします。

 

現代社会は価値観が多様化する一方であり、正誤思考では対決に終始するだけです。
2013年の経営環境は、問題解決の先送りや後戻りを許しません。
正誤思考から相違思考への転換が求められています。


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2012/11/05


使ったお金に責任をもつ

1.経営とお金の使い方


先月下旬、次のニュースがありました。
「日産自動車が300億円を投じてタイに新工場を建設する」


莫大なお金を使うのは何故でしょう?
「その工場で利益を生もう」と意図するからです。


経営における大事な視点
「利益を生むために、いかにお金を使うのか?」


2.お金を使うことに真面目すぎる人


「会社の経費は、なるべく使わないもの」
こういう意識の強すぎる方(真面目すぎる人)が少なくありません。


お金も使ってみないと、使い方(活かし方)が上達しません。
お金を使うことに真面目すぎると、経営的感覚が磨かません。


会社の経費は、意識して積極的に使うべきです。
利益につなげるお金の使い方を工夫していくことが大切です。


3.使ったお金に責任を持たない人


みんなのお金を使っているにも関わらず、
きちんと責任を負っているようには見えない人がいます。


例えば、「公務員」です。
全員というわけではありませんが、無頓着な人が多いようです。
使った結果の検証や改善行動が、しっかりとなされているようには思えません。


そういう人たちにお金を使わせると困ったことになります。
せっかくのお金を任せているのに、「足りない!」と言いはじめます。
将来のお金まで使っているのに、使い方を大きく改めようとはしないのです。


4.使ったお金に責任をもつ


責任を持たない人には、お金を任せるわけにはいきません。
使ったお金に責任を持たないと、
利益を生み出すスキルを磨く機会が閉ざされてしまいます。


「利益を生むために、いかにお金を使うのか?」は、
「使ったお金を利益につなげることに責任をもつ」ということです。


特別な経費を使わなくても、社員の一人として人件費を使っています。
「人件費も含め、そのコストに見合った成果や利益を生み出しているのか?」
それを日々、自問自答し、自分自身の経営スキルを高めていく。
経営の一端を担う社員として最低限の基本です。


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2012/08/06


「組織活動の硬直化」を予防する

1.人、昇進して無能と呼ばれる

極端な表現のように見えますが、「ピーターの法則」と呼ばれるものです。
ローレンス・J・ピーターによって提唱された階層社会学上の法則です。

通常、ある役職で有能と認められれば、次の役職へと昇進します。
昇進先の役職でも有能と認められれば、また次の役職へと昇進します。
このように昇進を重ねていくと、相応しい仕事ができない役職へと到達することになります。

昇進したことによって、有能から無能へと評価が転じてしまう。
組織という階層社会の中ではよく起こることです。

2.成長企業の宿命「組織活動の硬直化」

ピーターの法則は成長する企業の宿命です。

企業として成長し社員数が増えると、組織上の階層や役職の数も増加します。
階層や役職の数が増えると、ピーターの法則が顕在化してきます。
これまで有能と評価されてきた人が、昇進をきっかけにその評価を落としてしまうのです。

役不足と評価されるような人々が、大事な役職に留まったらどうなるでしょうか?
意思伝達・情報伝達という血流が悪くなります。
そして組織活動が硬直化し、機能不全の状態に陥ります。

3.幹部社員としての評価・育成を徹底する

枝葉に活力があるか否かは、幹の状態に左右されます。
幹部社員の能力発揮が、組織活動の枝ぶりを決定づけます。

どんな組織であれ、幹部社員という立場につくのは、有能と評価された人です。
しかしそれは、幹部社員となる前の評価なのです。

幹部社員としての評価は期待に過ぎません。
幹部社員になってからも有能かというと、断定できない場合が少なくありません。

期待だけでは、ピーターの法則が顕在化してきます。
評価・育成を不十分なままにしていると、「組織活動の硬直化」を招きます。

幹部社員としての評価・育成を徹底することが、組織活動の硬直化を予防します。
組織活動の活性化と企業成長の継続をもたらすのです。


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2012/07/16


「言っても動かない部下」の指導法

●部下指導の課題

「言っても動かない部下」を、どのように指導したらいいのでしょうか?
リーダーの方々から、よく聞かれる質問です。

この問いには、聞き返すことにしています。
「本当に言っていますか?」
「かつては言っていたかもしれませんが、今も言っていますか?」

「言っても動かない」と言いながら、
実は、言っていないのです。
言わなくなってしまっています。

●考え方の本末転倒

「言っても動かないので、言うのを止めました」
「言っていても効率がわるいので、言わないことにしました」
こういう考え方をするリーダーは少なくありません。

合理的なようですが、まったくの非合理。
部下を動かすのが仕事なのに、そのことを放棄しています。
考え方の本末が、転倒しています。

●効率ではなく覚悟

画期的な方法があればいいのですが、簡単にいく方法は見つかりません。
相手にも意思があるから、簡単にかたづく問題ではありません。
だからこそ、覚悟をもって立ち向かわなければなりません。

「言っても動かない部下」の指導に、効率を持ち出してはなりません。
「言っても動かない部下」に関わるぐらい、効率の悪いことはないからです。
しかし、リーダーである以上、一人の部下も見捨ててはなりません。
全体の士気に影響します。

●「言っても動かない部下」の指導法

相手が動くまで言い続ける。
相手が理解し、変革するまで関わり続ける。
「言って動かない部下」指導法であり、リーダーに求められる覚悟です。

言っても動かないのであれば、言い続けなければなりません。
動いていないのだから、言うことを止めてはなりません。
「激しさ」ではなく「厳しさ」を求めるリーダーの基本行動です。

「今日こそは動くだろう」
「今日こそは変わるかもしれない」
相手の成長を信じて言い続け、関わり続ける人、それがリーダーです。


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2012/05/28


言葉にこたえる人・意図にこたえる人

1.2つの「こたえる」

「こたえる」には、「答える」と「応える」があります。
2つの違いは、「何に」こたえるかです。

答えるとは、「問い」や「言葉」にこたえることです。
応えるとは、「思い」や「意図」にこたえることです。


2.言葉にこたえる人

ある地下街の飲食店での話です。

店の前を通りかかった人が、焦った表情をして店に入ってきました。
そして、店舗スタッフに向かって言いました。
「トッ、トイレ、ありませんか?」

言われたスタッフは、次のようにこたえました。
「うちの店にトイレはありません」

このスタッフの「答える」は正解です。
地下街の飲食店ですから、その店にトイレはありません。
「あります」と答えたら、間違いです。


3.意図にこたえるとは?

しかし、「応える」の観点からすると、どうなのでしょうか?

焦った表情をして「トイレ、ありませんか?」と聞いたということは、
「トイレはどこですか?」「早く、トイレを使いたい」
という意味である可能性が高いはず。

「トイレをお探しですか?」「そこの角を曲がった所にありますよ」と
トイレの場所を教えてあげる、あるいはお連れする。
それが「応える」です。


4.仕事とは?

仕事とは、相手の言葉に答えることではありません。
相手の思い・意図に応えることです。

しかし、言葉に答えることが仕事だと思っている人は少なくありません。
だって「トイレありませんか」と言ったじゃないですか。
「そんなこと報告しろ」なんて言われてません。
「早く」とは言いましたけど、「いつまで」とは言わなかったじゃないですか。
……

仕事とは、自分のことを必要としている人の思い・意図に応えることです。

仕事は「答える」ではなく、「応える」ことと、心底から理解しているか?
必要としている人の思い・意図に応えるための行動を、日々、磨き込んでいるか?

プロとしての成長、そして創出する成果を決定づけます。


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2012/04/23


経営幹部とは「予測制御」を行う人

1.行き当たりばったりの人が多い!?

指示がないと動こうとしない若手社員、
他人の経験から学ぼうとしないベテラン社員、
目標達成のシナリオを持たずに頑張る営業社員、
感情に任せて部下を指導してしまう管理職、
調査分析をしてから仮説を考える企画担当者・・・・・・。

数え上げるとキリがない。
行き当たりばったりと言うか、「事後制御」に頼っている人が少なくない。


2.事後制御と予測制御

「事後制御」とは、制御を乱す外的要因が発生した場合に、
それが影響として現れた後に、必要な修正動作を行うこと。

「予測制御」とは、制御を乱す外的要因の発生を予測し、
それが影響として現れる前に、必要な修正動作を行うこと。

事後制御に頼りすぎると先手が打てない。後手に回り、受動に陥る。
事後制御は、現れた影響に対して手を打つので、先を読まなくてもよい。

予測制御は、先を読まなければならない。
「どのような外的要因が発生するか」「どのような影響があるか」を。


3.組織にも働く「慣性の法則」

組織は大きくなればなるほど変革に時間がかかる。

小さな船は小回りが利くが、大きな船はそうは行かない。
大型タンカーは、舵が効くまで恐ろしく時間がかかる。

組織にも慣性の法則は働く。
組織も大きくなれば、先を読んで、早め早めに変革の舵取りをしなければならない。

小さいうちは事後制御でなんとかなる。
だが、大きくなってくるとそうは行かない。

管理職であれば事後制御でもなんとかなるかもしれない。
だが、経営幹部となると立ち行かなくなる。


4.経営戦略と予測制御

経営における予測制御の根幹をなすもの、それが経営戦略です。
経営戦略とは、「将来のあるべき姿と、そこに至るまでの変革のシナリオ」です。

「将来、どのような状態になっていなければならないのか?」
「その状態に到達するために、どのような行程が必要なのか?」
これらの中身を明確にしたものが経営戦略です。

経営幹部は、経営戦略について経営者と同等に語り合える人間でなければなりません。
経営幹部は、その実現に向けて経営者と共に行動するパートナーでなければなりません。


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2012/02/20


「厳しさ」を求めるために必要なもの

1.なぜ、部下に「厳しくなれない」のか?

「厳しくなれない」というリーダーは少なくありません。
部下に対して、「言うべきこと」を言っていないのです。
「言うべきこと」を言わずに、相手の顔色を伺っています。

厳しいことを言うと、(実力のない人に限って)嫌な顔をします。
ふて腐れるという、子どもみたいな人も出てきます。
そういった顔を見たくないので、「言うべきこと」を言わなくなってしまうのです。

相手の気持ちを理解することは大切ですが、
顔色を伺うだけでは、リーダーとしての責任を果たせません。


2.「厳しさ」と「激しさ」は違う

「厳しさ」とは、「やるべきこと」「やってはならないこと」を徹底することです。
「激しさ」とは、声を張り上げて怒鳴ったり、感情的に叱責することです。
リーダーに必要なのは、「激しさ」ではなく「厳しさ」です。

リーダーの中には、
「激しいだけ」で「厳しくもなんともない」という人がいます。
営業会議の席などで、数字がいかない部下を怒鳴り散らすのです。
しかし言いすぎたと思うのか、会議が終わると「今日は飲み行こうか?」とやっているのです。

「足りない数字をどう埋めるのか?」「やり方を抜本的にどう見直すのか?」など、
今後のことについての話が終わっていないのに、「飲みに行こうか?」なのです。


3.「厳しさ」を求めるために必要なもの

リーダーは感情論で部下を叱るわけではありません。
自分たちが目指す目的・目標の達成のために、
「何をすべきか」「何をしてはならないか」を問うのです。

リーダーが何かを言っても、
「また、うるさいこと言っているよ」と部下が心閉ざしたならば、
「厳しさ」を求めることはできません。

「確かにそうだよな」と心に届かなければ、
真の行動変革につながらないのです。
信頼関係が築かれていないのに「厳しさ」も求めても、想いは相手の心に届きません。
その結果は、「激しく」なるだけです。

「厳しさ」を求めるためには、信頼関係の構築が必要不可欠です。
これまでに経験したことのない経営環境の変化に直面しています。
信頼関係を構築し、真の行動変革を促すことのできるリーダーが求められています。


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2012/01/23


「従う者としての行動」を徹底する

1.組織力発揮の鍵

リーダーシップを「導く者としての行動」とするならば、
フォロワーシップとは「従う者としての行動」ということです。

リーダーが導き方をいくら工夫しても、
フォロワーが従い方を正しく理解していなければ、
組織としての力は十分に発揮されません。


2.未知の問題への対処

原発事故への対処を見ていると、フォロワーシップの重要性がよくわかります。
これまで経験したことのない問題に直面したとき、
その対処にあたるリーダーといえども、確実な答えをもっているわけではありません。

「こんな技術があります」「こういう処理の仕方はどうでしょうか」と、
フォロワーからの積極的な情報提供や提案があってこそ、有効な対処方法が見つかります。

リーダーが的確な意思決定をできるか、有効な対処方法を見出せるかは、
リーダーの問題というだけではなく、より多くいるフォロワーの行動にかかっています。


3.どちらの教育が難しいか?

リーダーシップを教える方が難しいと思われがちですが、
実際にやってみると、フォロワーシップを教える方が難しい場合が多いのです。

リーダーシップを発揮するためには、フォロワーのことを理解していなければなりません。
通常、はじめからリーダーにすることはありません。
現場や従う立場を経験させるものです。

フォワーシップを発揮するためには、リーダーのことを理解していなければなりません。
リーダーの経験がないフォロワーに、導く者の気持ちを教えるのは至難の業なのです。


4.誰が教えるのか?

リーダーの思いがわからない人は、フォロワーシップを教えることができません。
リーダーの思いとフォロワーの思い、その両方をわかる人が教えるのがベストです。

リーダーであり、かつ、フォロワーである幹部社員が教えるのがベストです。
従う者としての行動を、身をもって示すのが幹部社員の役割です。

世界的な金融危機や想定外の災害等を克服し、経営を存続・発展させていくためには、
リーダーシップに答えを求めるだけではなく、従う者としての行動を徹底しなければなりません。


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